春だけど・・・
こんにちは。
職員M.O.です。
この連休を使って登山と山岳気象の調査研究に出かけてきました。

中部山岳地帯、北アルプスにある新穂高ロープウェイの終点に到着。
初日のこの時間は青空が広がっていました。
都心では初夏の陽気ですが、標高2156mの地点はまだまだ残雪があります。

歩き出してしばらく進むと登山指導センターがあります。
この時期はまだ閉鎖されていますね。

今回の荷物です。
登山用のザックには収まりきらないので歩荷です(笑)
パソコンをはじめとする機材や本来の登山に必要な用具類、アタックザックなどなど。
こういうスタイルで登っていくと他の登山者は「ご苦労様です」って言って積極的によけてくれます。逆に申し訳ないような気も・・・

残雪は多いものの春の雪ですので状態は悪いです。
ただ今回は比較的気温が低かったので、歩きやすかった方です。

新穂高ロープウェイから1時間半程度上ると、穂高連峰では唯一通年営業をしている西穂山荘に到着します。
写真は山荘手前の最後の急登部分です。
30キロ近い荷物なのでこの急登がかなりこたえます。

西穂山荘に到着して稜線を眺めます。
さすがに稜線の雪はほとんどありません。
西穂山荘の標高は2367mですが、これだけ雪があっても暑いです。
すでに厚手のTシャツ一枚です。

翌日は吹雪でした。
吹雪そのものは想定していたのですが、想定以上に天候が悪化し無理に下山をすると雪崩を誘発させる可能性もあることからやむを得ず延泊することにしました。
そのかわり山岳気象の調査研究という面では想像以上の成果を得ることができました。
翌日の天気が良い方向にかわりつつあり、期待を寄せます。

翌朝です。
この写真は一つ前の写真と同じ場所から撮影しました。
一晩でこんなに変わってしまいました。
5月ともなれば初夏の陽気ですが、その感覚でここ穂高連峰に来てしまうと気象条件によっては命にもかかわる事態になってしまうというのがよくわかると思います。

新雪を踏みしめながら登っていくことにします。

山荘裏手の丘を上がると西穂高岳の稜線が一望できるようになります。
一晩で雪に覆われてまるで初冬のような姿になっていました。

雨氷です。
氷になるはずの温度の雨が氷にならず雨として降るため、木などに当たった瞬間に氷になる現象です。
朝日にあたった木々の氷がキラキラ光っていてとても綺麗でした。

西穂丸山に到着しました。
後ろに見えるのは笠ヶ岳です。
この時間は青空が広がっていて最高のコンディションでした。

シュカブラです。
風が雪面を削り取って芸術的な模様になります。
ちょうど岩があってまるで庭園のようになっています。
写真は登山道上なので残念ながらこのあとズカズカと歩いていってしまいます。

こうやって眺めるとかなり積もっているように見えますが、実際は昨晩降っただけなのでアイゼンの刃が下の岩に当たってしまい気を付けないとつまずいてバランスを崩してしまいます。
こういう状態が一番苦労して時間がかかります。

今回の目標地点としている西穂高岳独標が見えてきました。
西穂高岳は山頂から大小合わせて12の峰があり、独標は11番目の峰になります。
写真をみてもわかるようにここから先は岩場の絶壁を慎重に進まなければならず、特に冬から春の積雪期はアイゼンを付けながら岩の上を歩いて行ける技術が必要になってきます。

独標への最後の急登です。
急登というか崖を登っていきます。
昨日の雪で岩が覆われていて、地形を知っていないとかなり苦労する状況になっています。

西穂高岳独標に到着しました。
この時点で西側の笠ヶ岳より雲が湧いてきました。
この雲の成因についても研究の対象となって勉強になりました。

山頂方面を見上げます。
本来でしたら西穂高岳山頂から奥穂高岳、前穂高岳まで一望できるのですが、奥穂高岳から先は雲の中になってしまいました。
おそらく奥穂高岳(3190m)周辺は雪になっているでしょう。
もうすっかり春です。
春だけど・・・
穂高の山はまだまだ冬から春になろうとしている最中です。
一年でも気象遭難が多いこの時期。
湧き上がる雲を眺めながら山岳気象というのは本当に奥が深いなと思いました。